きっかけを生み出す場をつくる

学びの場と働く場の橋渡しをすることを仕事にしています。「いかに学び、いかに生きるか」がマイテーマ。

家電量販店にて

パソコン購入のため、家電量販店を訪れた日のこと。

あらかじめ、自分がパソコンに求める性能や機能、要素を洗い出して優先順位をつけ、それをもとにネットで下調べをしていくつか候補機種を絞った上での来店である。
パソコンコーナーに到着し、目当ての機種を見つけてキーボードを打ってみたり実物の大きさ・重さを持ち上げて確かめてみたり、ネットだけでは捉えきれない箇所を確認しようとする。

そこで、店員が話しかけてくる。
「何かおうかがいしましょうか?」

自分が重視するポイントはこういうところで、求める性能はこの位で、そうするとこの機種が一番条件に合うかなぁと思って今実機で確かめているのだと伝えると、
「よくご存知ですね。仰る通りです」

いやいや、それくらいネットで調べられるし…


それだけ何も考えずにくる客が多いということだろうか。

先の店員はまだこちらが買う気が無いことを悟るとさっさと去っていった。

そうこうしているうちに、また別の店員が寄ってくる。
次はあまりしゃべらない作戦に出た。
「この機種が気になってて…」
するとこちらが既に調べてきたことばかりをペラペラとしゃべり始めた。

ネットで調べられる情報しか客に与えられない店員は何のためにいるのだ…


そして二人の店員が共通して口に出したのは
「外でインターネット使われます?」という質問だった。
職場と家での使用がほとんどなのでモバイルルーターの類は持っていないし必要ない旨を伝えると、
「そうなんですね。実は今、こちらのプランにご契約いただくとパソコン本体が○万円引きになりまして…」と値引きトークが始まる。

え、ちょっと待って。私、

予算伝えてないよ?

まだ予算も聞いてないのに、いきなり値下げの条件を出すの?こっちはそこまで安さは求めてないんだけど。

なんだか、

どうせ安く買えたらいいんでしょ

って言われたような気がして腹が立った。悲しくなった。

確かに、最低限のコストで最大限の対価を手に入れることが賢い消費者としての振る舞いなのだろう。
けど、私はそれよりも買い物という行為を満足いくものにしたい。そしてそのプロセスを経て満足いくものを手に入れたい。ただ安く買えたらそれで良いというものではない。ネットでは知り得ない情報を知りたいし、店員とのコミュニケーションを楽しみながら買い物をしたい。そういう欲求を満たしてくれる店員には、この家電量販店では出会えなかった。
結果、満足いくパソコンを購入出来たものの、満足いく買い物(という体験)が出来なかったのであった。